- Very Good Quality -
単一クリュにこだわり、短期間でバルバレスコを代表する造り手となった「ラ・スピネッタ」。そんなスピネッタが2006年から造るバローロがこの「ガッレッティ」。バローロの生産区域としては北東に位置する「グリンツァーネ・カヴール」の単一クリュとなります。
ヴィニェート・カンペと同等の指向性を持つ、非常にパワフルで力強さを突き詰めたような世界観なのが印象的です。モダンでリッチな樽使いが施され、際立つ苦味を伴う重厚なタンニンと、熟した甘みの果実味、この二つの要素による高コントラストな表情が全体を支配しています。かなり尖ったスタイルで、パンチの効いた濃厚なバローロではありますが、内包する要素の充実度合いとは裏腹に、ボディを構成する骨格、そしてそこから生じる厚みやボリューム感は意外と現実的で、カンペほどの圧倒感はありません。ヒリヒリとする高いアルコール感やタンニンによる刺激を感じつつも、ハッキリした輪郭や全体を引き締める酸、そしてまだまだ若さを感じる瑞々しさなど、その他の要素との相関関係が影響しているのかもしれません。
やや端的な傾向にあるのが気になる所で、特に抜栓日は強いタンニンと甘い果実味の高コントラストが際立ち、両要素の間に多少の距離感があります。しかし翌日に持ち越すと、果実味が一段落着き、体躯の中央に集中力が増すと共に酸がより明確になって全体を纏める傾向にあったので、基本的にはもう少し熟成させた方がより良い結果が得られそうな印象でもあります。モダンなスタイルなので早くからでも飲めますが、カンペと同様に重厚なタンニンが支配する長期熟成型なので、基本的には10年でも早飲み、20年以上でようやく表情が落ち着き始める、といったところかもしれません(今飲む場合はかなりの体力が必要)。
(2018/11)