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偉大な単一クリュのバローロ「カンヌビ・ボスキス(現アレステ)」を生み出すルチアーノ・サンドローネですが、各地域のブレンドで造るもうひとつのバローロがこの「レ・ヴィーニェ」となります。バローロ村にあるクリュ「ヴィニャーネ」の2区画、ノヴェッロのクリュ「メルリ」、モンフォルテ・ダルバの「コンテルニ」と「チェレッタ」、これらの畑をブレンドし、伝統的なバローロとしての立ち位置をうまく捉えています(バローロの伝統はブレンドが基本)。
非常に端正で美しく滑らかな質感を持ち、特にその上質な樽使いから生まれる表情が印象的です。純粋なボリュームやエネルギー総量は比較的抑えられている傾向にありますが、程よい体躯をベースにしたバランス感が心地よく、同時にその内部は極めてリッチで、主体となる「酸味」を基軸にして各要素が破綻なく配置されています。果実は丸く優しい甘みが感じられ、無理のない熟度なのが非常に好印象でもあり、初期の熟成段階に達したことで、熟れた甘いタンニンと相まって落ち着いた心地よさを生み出しています。
派手でインパクトのあるようなスタイルではなく、質実でじっくりと着実に歩を進めるタイプであり、あくまでも酸が主体となっていることもあるので、基本的には「時間をかけて向き合うほどに魅力が増大していくタイプ」となっています。深く印象に刻まれるような世界観ではないものの、ふと気がつくと1本飲みきっている、そんなイメージかもしれません。ルチアーノ・サンドローネのワインは相対的に高価な傾向にありますが、飲めば納得できるだけの内容を持っているのは確かなので(特に質感)、この価格帯のワインに抵抗がない人であれば、相応の高い満足感が得られると思います。
(2018/11)