- Good Quality -
今回の1本はモンフォルテ・ダルバの単一クリュ「グラモレーレ」の畑から造られるバローロですが、他にも居を構えるヴェルドゥーノから、「モンヴィリエーロ」や「サン・ロレンツォ・ディ・ヴェルドゥーノ」など、合計3種類の単一クリュをリリースしています(ブレンドで造られるスタンダードのバローロもあり)。
過熟葡萄の表情が際立つ傾向にあり、その資質はメリハリのあるハッキリとした表情ではありますが、それでも14.5%という高いアルコールによる体軀の張り、そしてしっかりとした酸やタンニンによって、全体像としては伝統的なバローロが持つ品格が感じられるスタイルになっています。ボディから感じられる格調と安定感はまさにモンフォルテらしいスタイルで、長期熟成に耐えられるポテンシャルと堅牢性ではありますが、その反面、純粋な果実味は想像以上に熟成している傾向にあり(15〜20年ほど経過したような印象)、その過熟的な表情と相まって妖艶さと仄かな退廃感が広がります。
大樽で造られる伝統的なスタイルと、熟度の高い果実味が同一空間に共存していることに不思議な感覚を覚えますが、他の2008年のバローロにも同様のスタイルが見られる点を鑑みると、単純な良し悪しではなく、この時代と2008年というヴィンテージが指し示すひとつの方向性なのかも知れません。
(2018/11)