- Good Quality -
ラ・モッラらしい軽やかさと流麗さが感じられる出で立ちで、大樽系のニュアンスとも言える微かな退廃感や小屋のような空気感があり、土台となる部分の世界観としては伝統的なバローロの延長線上にあります。しかし、内包する果実には熟した甘旨味が感じられ、その資質には現代的な醸造手法の背景が伺えます。
抜栓日の表情は、相対的に酸味が主体となっている印象があり、食事とともに合わせることでより良い要素が引き出せるような、ある種古典的な系譜に位置しているようにも感じられます。しかしその反面、翌日に持ち越すと熟した果実が前面に出る傾向にあり、甘草などのスパイスを内包する煮詰めたような甘味が主体となっていきます。伝統的な要素と現代的な要素を同時に内包しているとも言えますが、両要素の距離に若干の隔たりがあるので、時間の経過とともにそのボタンの掛け違いがやや気になる印象です。
抜栓直後の印象はポジティブだったので、もしかするとボトル差(ボトルコンディション)が影響しているのかもしれませんが、それでも全体像としてはラ・モッラらしい表情が感じ取れる流麗なバローロになっているので、セッラルンガ・ダルバやモンフォルテ・ダルバ寄りのパワー系バローロよりも、エレガントなスタイルのバローロを好む人向けのスタイルだと言えます。価格的にもまだ手頃な範疇にあるので、良好なコストパフォーマンスで楽しめるオールド・ヴィンテージとしては、非常に貴重な存在なのかもしれません。
(2018/11)