- Good Quality -
14年の熟成を経たお手軽価格の古酒ではありますが、実際にはラベルは綺麗でコルクも新しく、なんらかのリコンディションが行われたボトルだと思われます(詳細不明)。
過熟果実の表情がある意味懐かしく、まさに1990年代後半から2000年代前半によく見られたスタイルが脳裏をよぎります。表情そのものには古酒的な妖艶さや枯れた雰囲気も感じられますが、同時に若々しくしっかりとした要素も内包していて、角の取れた重層的なハーブ風味と一体し、かなり強いタンニンによる苦みや渋みが未だ全体を支配しているのが印象的です。
翌日に持ち越すと、タニックな側面が一気に減衰し、若く感じるその他の要素だけが取り残されたかのような、軽快な酸を兼ね備えた過熟果実のキュートさを主体とした不思議な世界観への変遷します。土台となる部分にはタンニンがしっかり残っているので、時間が経過しても一定量の渋みは感じられますが、それでもどちらかというと端的な果実の甘さの方が主力になっているような印象です。15%という高いアルコールもやや気になりますが、基本的にはリスクが高い「純粋なオールド・ヴィンテージ」ではなく、現代水準で無理なく楽しめるようコントロールされた、万人寄りの古酒といったところかもしれません。
(2018/08)