- Good Quality -
以前、ワインメーカーのニック・ミルズと共に主要アイテムのヴァーティカル・テイスティングを行ったことがありましたが、その当時の印象では、古いヴィンテージはジャミーな要素がより強く、逆に新しいヴィンテージになるとエレガントで複雑な要素がより強くなる傾向にありましたが、今回試飲した2010年に関しては、両方の要素をバランスよく兼ね備えつつ、更にしっかりとしたポテンシャル要素(長期熟成型)を感じる内容となっていました。
やや還元気味なのか、抜栓日は芯の硬さや細い収斂感がやや気になる傾向にあり、ハイトーン系の酸と相まって多少飲み手を選ぶ世界観となっています(同じセントラル・オタゴのサトウ・ワインズに類似する系譜の硬さかも)。とはいえ、現時点で非常に心地よい熟成段階に達している印象があり、なめし皮、針葉樹林、チョコなどのニュアンスに、熟度の高い果実とボディが程よく融合し、ニューワールドのピノ・ノワールが放つ独自の熟成感を遺憾無く発揮してくれます。還元系のニュアンスは時間とともに減衰していき、抜栓後2日〜3日経過するとほぼ感じられなくなるので必要以上に警戒することはなさそうです。最終的には「熟度の高さ」と「熟成による複雑さ」を存分に堪能できるようになるので、もしかするとエレガント系の熟成したボルドーが好きな人に訴求するような世界観かもしれません。
(2018/08)