- Good Quality -
山﨑ワイナリーのピノ・ノワールは「黒ラベル(現在の深緑ラベル)」「青ラベル」「プライベート・リザーブ」の3種類造られていますが、今回試飲した黒ラベルは、シルトとシルト岩の土壌で構成された区画で栽培され、醸造では低温浸漬と除梗後の樽熟成が基本的なスタイルとなります。
若干のメントールを感じる清涼感と明確な酸、そしてカチッとした輪郭を持つ若干の収斂資質を持った硬質感が主体となっています。芳香性と果実の表情は、セントラル・オタゴのようなニューワールドの冷涼産地を彷彿とさせますが、実際に口に含むと印象は異なり、軽快な立ち振る舞いと清涼感が印象的な、ブルゴーニュ(ボーヌ)寄りの表情となっているのが印象的です。
野いちごやチェリーの果実感はありますが、全体像としては清涼感を含めた「明確な酸」にスポットが当たっているので、この軽やかで甘酸っぱい固有の風味を肯定的に受け入れない限りはあまり楽しめない傾向にあります。甘く濃厚なモダンワインに慣れているライト層には不向きですが、時間をかけてじっくり向き合う程に魅力が滲み出てくる傾向にあるので、酸、軋み、苦味といった要素への耐性を持つヘビー層(ワインを飲み慣れている層)であれば、よりポジティブに受け止められると思います。
(2018/07)