- Good Quality -
大沢ワインズの原点であり、フラッグシップとも言えるシリーズがこの「フライング・シープ」。一時期はフライング・ムートンという名称でもリリースされていましたが、開梱した畑がもともと放牧地で、そこにいた羊達には新たな土地に移動してもらったという経緯を踏まえ、この名がつけられています。
ニュージーランドで造られるサンジョヴェーゼ(主要産地はイタリアのトスカーナ)、しかも適度な熟成を経ているというかなり希少な存在ではありますが、実際は品種の個性よりも土地の個性の方が色濃く出ている傾向にあります。チェリーやプラムのような明快な果実味が前面に打ち出され、丸みを帯びた口当たりの良さと、高コントラストを生み出す甘みが印象的な、まさにニューワールドらしいスタイルに仕上がっています(多少一昔前のスタイルかも?)。サンジョヴェーゼらしい艶やかさや凛とした表情もコアに感じられますが、それらを上回る勢いで果実味が優っているので、ある意味大衆向けの分かりやすい方向で仕立てられていると言えるかもしれません。
酒質はすっかり落ち着いているものの、スクリューキャップの効果もあってか、全体を通して生き生きとした表情が感じられるので、新しいヴィンテージのワインと同等の扱いでも特に問題なさそうです。一般的なボリュームレンジのバックヴィンテージとなると、飲み頃が過ぎているのではないかと少し不安も過りますが、ゲヴュルツやピノ・グリと同様に大きな問題は見受けられないので、消費者にとっては安心して飲むことができそうです。
(2018/05)