- Very Good Quality -
カルソのテロワールを強く感じさせるワイン造りを意識し、1本1本の葡萄の樹を非常に大切にしているのが、1972年生まれというパオロ・ヴォドピーヴェッツ。彼は2011年ヴィンテージから4種類のヴィトフスカを手がけていますが、テラコッタの頭文字となる「T」の冠がつくこのヴィトフスカは、果皮とともに行う6ヶ月の発酵に加え、合計30ヶ月間、ジョージア産のアンフォラのみを使用し熟成を行っています(他のキュヴェとは異なり大樽を一切使用しない)。
オリージネ同様のしっかりとした色調ですが、特徴的な鮮やかさがほとんど感じられず、非常に落ち着いた佇まいとなっています。単一畑のポテンシャルが具に伝わる充実感が非常に印象的で、大樽を使用するキュヴェよりもコアの密度とエネルギーが強く、非常にクリーンかつピュア、そして凛とした品位ある表情が見事に広がります。アンフォラの特性がヴィトフスカという品種の持つ個性をストレートに引き出している印象でもあり、カルソらしい屈強さを感じるものの厳格さは特になく、ヴォドピーヴェッツらしい享楽要素を兼ね備えた果実味がうまく全体を補完してくれています。
表情そのものは比較的シンプルなので派手さはありませんが、明確な輪郭を持つその表情と資質は、高いクオリティを誇る優れた生産者の白ワインと共通する世界観でもあり、時間をかけてじっくりと向き合う価値のある存在感だと言えます。可能な限りモンラッシェ用の大振りなグラスを使用して欲しいところでもありますが(小ぶりなグラスだと飲み頃がかなり先に感じる)、そもそも気軽に手が出せる価格帯ではないと言うことも加味すると、基本的には「大人の余裕を持って向き合える層」がターゲットになりそうです。
(2018/04)