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カルソのテロワールを強く感じさせるワイン造りを意識し、1本1本の葡萄の樹を非常に大切にしているのが、1972年生まれというパオロ・ヴォドピーヴェッツ。彼は2011年ヴィンテージから4種類のヴィトフスカを手がけていますが、スタンダードなポジションとなるこの「ヴィトフスカ」は、約1,500リットルのアンフォラで果皮とともに発酵、圧搾後に再度アンフォラで6ヶ月熟成、最後に大樽に移して24ヶ月熟成しています。
スキンコンタクト系に散見される琥珀色ではなく、やや鮮やかな黄色で非常にクリアな印象を受けます(一般的な白ワインに近い見た目)。コアには凝縮したエネルギーを感じるものの、突出した個性やパワーで押すようなタイプではなく、表層のクリアな硬質感とクリーンな流麗さが美しい、端的な魅力を持つ世界観なのが印象的です。果実感は鮮やかながらも、打ち解け落ち着いた表情を持っている傾向にあり、ヴィトフスカらしいニュートラルな表情と後味にかけてのヒリヒリとした質感、そして明確な輪郭を感じる凛とした余韻が非常に良好な雰囲気を生み出しています。
使用するグラスによって本質的な表情や世界観に違いがみられるので、やや注意が必要かもしれません。一般的な白ワイン用グラスであれば、構成される各要素が明確に伝わってくるということもあり、純粋なテイスティングに向いている傾向にあります。逆にモンラッシェ用の大振りなグラスを使用すると、一歩踏み込んだ一体感と高い魅力を誇る芳醇な表情が印象的なので、純粋にその世界観に没頭し楽しみたい場合にお勧めです。いずれにせよ、抜栓後に時間をしっかりかければかける程に魅力が増す傾向にあるので(翌日だとなおベター)、ゆとりを持ってじっくりを向き合ってもらいたいところです。
(2018/04)