- Very Good Quality -
パオロ・スカヴィーノを象徴するクリュ・バローロがこの「ブリック・デル・フィアスク」。もともとはスカヴィーノ家が単独所有していたモノポールで、1945年にアゼリアのルイージ・スカヴィーノと畑を分割したものの(アゼリアは「ブリッコ・フィアスコ」としてリリース)、それでも1921年の創業時から所有している唯一の単一畑で、ファースト・ヴィンテージは1978年という歴史ある銘柄でもあります。
襟を正した端正な立ち振る舞いが非常に印象的で、屈強かつ重厚なタンニンを主体とした、まさにバローロの本質を真摯に体現した世界観が広がります。決して大柄ではないものの、その体躯内部は緻密で、タンニンを愛でることで滋味深く広がるその甘美な姿は、ゆったりとした大人の時間を演出する最上の1本になりそうです。わかりやすい果実味が打ち出されるようなことは一切ないので、豊富なタンニンと、軽やかなアクセントになっている酸味、そしてゆっくり噛み締めることで伝わる旨味、こういった質実な要素をゆとりをもって受け止める姿勢が必要で、端的にその本質を理解することは難しいかもしれませんが、これこそが良質なバローロの世界観を知るための最適解だとも言えるので、まずは落ち着いた心持ちで向き合ってもらいたいところです。状態としては最初の飲み頃に到達しているので、今後10〜20年かけてその真価が発揮されていくと思います。
(2017/11)