- Very Good Quality -
エノロゴとして有名な「ルカ・ダットーマ」が、満を持して立ち上げた自身のワイナリーが「ドゥエマーニ」。ドゥエマーニのワインといえばカベルネ・フランと言うイメージがありますが、このスイサッシに限っては「シラー100%」で造られています。
ルカ・ダットーマの手によるシラー像に興味が湧きますが、実際には品種の特性よりも、ドゥエマーニとしてのスタイルの方がより明確に反映されている傾向にあります。カベルネ・フランで造られるワインと同様に、圧倒的な熟度の高さを誇る濃密な葡萄のエネルギーが鮮烈で、ヒリヒリと痺れるような強靭なタンニンとスパイシーさ、それらが瑞々しさと綺麗な酸によって纏め上げられています。体躯内部はやや軟質ですが、それらを引き締める外郭が明確で、一切のブレなく飲み手の前にどっしりと鎮座している傾向にあり、この緻密さと重量感は、ドゥエマーニのワインの中では最上位の水準にあるかもしれません。
抜栓日よりも翌日に昇華する傾向にあるのは他のドゥエマーニのワインと同様ですが、それでも一定の熟成を経ていることもあってか、抜栓後の時間経過による資質の変化水準は他のワインよりも控えめです(抜栓後1〜2時間で開花する印象)。その屈強な内面にある果実の表情にオレンジのニュアンスが感じられることもあり、状態としては初期の飲み頃には十分到達している印象で、豊富なタンニンと葡萄力によって将来的なポテンシャルも同時に感じられる状況といったところでもあります。
(2017/10)