- Good Quality -
ヒトミワイナリーからは数多くのアイテムがリリースされていますが、今回の1本は自社畑で造られる「ドメーヌ・ヒトミ」シリーズになります(畑の場所は東近江市)。
ワイン名についている「MC」は、ボジョレーで頻繁に用いられる醸造法でもある「マセラシオン・カルボニック」の頭文字で、収穫した葡萄を全房のままタンクに入れ、発酵によって発生する二酸化炭素を閉じ込める手法となります。ヒトミワイナリーでは、タンク上面を透明のビニールシートで覆うと言うシンプルな方法で、密閉期間は1週間。その後、足を使った踏み込みで低温による醸しを行います(濾過、清澄、除酸は行わず)。
抜栓直後から、イチゴなどの赤系ベリーの甘みを伴う香りが大きく広がり、溌剌とした芳醇な姿を遺憾なく発揮してくれます。アクセントとしての野性味は感じられるものの、いたって落ち着いた品位ある佇まいなのが印象的です。表情としては自然派らしいスタイルで、やや還元気味な傾向にはありますが、マスカット・ベーリーAらしいジューシーさを感じさせ、それでいてコアに密度を感じる弛みのない整った体躯を有している点は、よりメジャーな国際品種系の辛口ワインと同等の品質を誇っているとも言えます。手軽な甘口ワインとしてのマスカット・ベーリーA、そんな方向性からの根本的な脱却と進化を感じる良質な世界観だと言えそうです(生産本数591本)。
(2017/08)