- Good Quality -
ヒトミワイナリーからは数多くのアイテムがリリースされていますが、今回の1本は自社畑で造られる「ドメーヌ・ヒトミ」シリーズになります。畑の場所は東近江市の愛東地区。栽培を開始したのは平成23年で、樹齢はまだ6年と若く、前年の2014年に「cuvee青二才」としてリリースしたシャルドネを使用しています。
濾過、清澄、除酸は一切行わず、また、果皮浸漬によって醸しを行う「オレンジワイン」となりますが、実際の色調はオレンジというわけではなく、シャルドネらしいしっかりとした黄色の範疇にあり、澱を豊富に含んでいるので多少くぐもってはいるものの、驚くほど綺麗な色調となっています。ボトルを立てておくことで澱は概ね底付近に沈みますが、澱の有無で風味や舌触りなどに大きな変化はないので、見た目を気にしなければ特に困ることはないと思います。
素朴で自然な魅力を感じるスタイルで、フリウリの自然派系オレンジワインにも似た、ある種の土着的な野生感がストレートに伝わってきます(酸化防止剤無添加ですが、火入れが行われているので扱いは容易)。ブラインドで飲むとシャルドネとは分からない可能性も高そうですが、独自の個性を保有しているにも関わらず、その立ち振る舞いは綺麗に整っていて、決して重すぎず、それでいて軽すぎもしない、そんな姿にポジティブな印象を受けます。日本のワインで、ここまで明確なスタイルとビジョンを打ち出せているということにちょっとした驚きを覚えますが、生産本数が「750本」とかなり少なく、入手自体かなり困難なのが唯一の難点かもしれません。
(2017/08)