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グラン・クリュの丘の最西端に位置するクリマが「ブーグロ」。他のグラン・クリュよりもやや格下と見られがちですが、その代わり、相対的に早くから楽しめる要素や親近感、さらには小区画ごとの多様性など、また少し異なる特徴を有しています。
全体的なパッケージングが良好で、ややぽってりとした傾向にはあるものの、一般的なグラン・クリュらしい「強いミネラルによる引き締まり」がかなり抑えられている傾向にあるので、逆説的には一般層に対する訴求力はより高いと言えるかもしれません。ヴィンテージのスタイルもあってか、落ち着きのある現実的なサイズ感ではあるものの、優しい蜜を感じる果実味、仄かなグリーンノート、控えめなミネラル感など、総じて「今すぐ楽しめる現実的なグラン・クリュ像」を存分に発揮してくれます。やや表層的な親近感にバイアスがかかっている傾向にはありますが、それでも舞台裏ではグラン・クリュらしい堅牢性と緻密さが底支えしてくれているので、決して安易な指向性に流れることはありません。
純粋な点数評価としては現実的な水準に収まる印象で、さらにポテンシャル要素としては同年のヴァルミュールに分がある傾向にありますが、それでもこの現実感ある仕上がりによる有用性、そして素直な美味しさは明確な利点でもあるので、個人的にはこの利点をポジティブに受け取りたいところではあります(レストランで使いやすそうな印象も?)。
(2017/08)