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ピーター・シセックが手掛ける超弩級ワイン「ピングス」。そしてそのセカンドにあたるポジションに位置するのがこの「フロール・デ・ピングス」です。
非常に熟度の高いトロミある凝縮果実に、ビターチョコやバニラなどの樽要素が渾然一体となった、柔らかくも充実した完成度の高い世界観となっています。どこかナパを中心としたハイエンド系のカリフォルニアワインが持つ、独特の風貌に近いニュアンスがあり、葡萄そのものが持つエネルギーと、それを導く手綱捌きの両立が最大のポイントだと言えそうです。
アルコールが非常に高く(15.5%)、ヒリヒリするような辛味も確かに感じられますが、全体を覆う際立った瑞々しさと滑らかさのおかげで、飲みにくさは皆無。むしろ、味覚としてはもっと低い数値に感じられるので、その飲みやすさも相まって一気に飲み干してしまいそうでもあります。ただし、翌日に持ち越すと口当たりの良い果実味が少し減衰し、コアにある辛味が前面に出るようになるので、時間をかければかけるほどに本来の厳しい側面が表出する傾向にはありそうです(ヴィオニエのワインが持つ固有の時間変化と似た性質かも?)。
相変わらず品質は高く、ピーター・シセックの手腕も見事なものがあるので、絶対価格はやや高価ですが、相対価格としては適切な範囲に収まっているので(むしろ割安)、純粋なお薦め度はかなり高いと言えます。
(2016/12)