- Good Quality -
ヴィンテージ毎にスタイルの変遷が見られるロッカ・グイッチャルダですが、今回試飲した2012年ヴィンテージは、あらゆる要素を過不足なく纏め上げたかのような、万人に対してキッチリ訴求するスタイルとなっています。
ベースは、キャンティ・クラッシコらしいタイトで軽快な立ち振る舞いのある酸を主体としていますが、心地よいキュートさ、リゼルヴァらしいチョコやほろ苦さ、熟度のある果実味、これらが多くの人に受け入れられる現代的な指向性として明確なビジョンのもとに仕上げられています。テロワール系ではなく、あくまでも造り手の意思が先行するスタイルですが、どこかが突出するようなことのない適切なバランス感は、総じてモダンスタイルのポジティブな部分にスポットが当たっているようでもあるので、トータルで見ると恣意的な印象は特にありません。本来のキャンティ・クラッシコらしさを堪能でき、なおかつ多くの人が素直に楽しめるスタイルというのは、これからのキャンティ・クラッシコが指し示すひとつの方向性と言えるかもしれません。
(2016/10)