- Very Good Quality -
イタリアらしいタイトながらも豊かな酸、充足感のある熟度の高い果実、それらに負けないリッチな樽使いなど、各要素、造り手の手腕、それらが高いエネルギー総量で構築されている傾向にあります。若干彩度が気になりそうな瞬間もありますが、例年よりも瓶熟期間少し長めにとっての試飲ということもあってか、ギリギリなレンジでうまく収まってくれたような印象でもあります。
すべてのピースをマックスまで詰め込んだかのような豊かな構成力がひとつの特徴ではありますが、そのエネルギーと素直に味覚に訴えかける世界観に反し、不思議とグラスは進みにくい傾向にあります。翌日に持ち越すと、樽系の化粧っ気が一気に減衰し、サンジョヴェーゼらしい酸と充足感ある体躯が主体となった質実系にシフトし、その指向性は180度変わる傾向にあります。現状ではまだそのポテンシャルは完全に開花していない状況で、将来的にも開花するかどうかは不透明ではありますが、充実した内容と、その兼ね備えた可能性に関しては確かなものがあるので、もうしばらく様子を見てみたいところでもあります。
(2016/09)