- Good Quality -
ニュイ・サン・ジョルジュにはグラン・クリュがありませんが、ブルゴーニュ最古のクリマのひとつとも言われ、名実ともにグラン・クリュに相応しいとされているのがこの「レ・サン・ジョルジュ」。実際に、このリジェ・ベレールの他、フェヴレやアンリ・グージュといった若手を中心に、グラン・クリュ昇格に向けて動き出しています。
粘土質土壌主体で、リッチかつパワフルなスタイルになると言われるレ・サン・ジョルジュですが、ヴィンテージや造りの影響もあってか、それほどパワーで押すような世界観ではありません。多くの要素は既に混然一体となり、滑らかなテクスチャとともにバランスの良い良質な表情を生み出していますが、ニュイらしい堅牢性ある体躯内部に、全房発酵系のワインに類する果梗由来の硬さが感じられます。表層の近づきやすさとは対照的に、長熟要素がコアにしっかりと鎮座しているので、今飲んで楽しめるだけでなく、10年以上熟成させても魅力を披露し続けてくれそうな印象もあります。
ある種、近年のニュージーランドで多く見られるような全房発酵系ピノ・ノワールとも似た質感を有していますが、テクスチャの滑らかさや質感にはブルゴーニュ固有の品位ある精緻さが見られるので、この辺りはさすがニュイ・サンジョルジュの中でもグラン・クリュ相当と言われるだけのことはあります。ティボー・リジェ・ベレール自体の造りの良質さも加わり、非常に良好な世界観が構築されているので、価格的なハードルをクリアできるようであれば、ぜひ積極的に体験してもらいたいところです。
(2016/09)