- Good Quality -
サンジョヴェーゼらしい酸とタイトさ、磨かれた冷感のあるテクスチャなど、典型的なキャンティ・クラッシコらしさを兼ね備えつつも、果実の充実度と明確な甘みがあり、柔らかく仄かなバニラなニュアンスがモダンな世界観へと導いています。サンジョヴェーゼらしさを醸し出しながらも、大多数に受け入れられるような表情を意識し、全体を通してバランスよく纏め上げる手綱捌きが非常に印象的です。
良くも悪くも「クエルチャベッラらしいスタイル」なので、表層的には誰もが不満なく受け入れることができそうな内容だとも言えます。ただし、このある種の「クエルチャベッラらしさ」は、逆に言えば心に訴えかけるような指向性とは真逆でもあるので、現実としてはじっくり向き合うような飲み方には不向きだとも言えます。故に、決して日常で気軽に飲めるような価格帯ではないという点が、やや気になる要素になりそうです。
(2016/07)