- Very Good Quality -
デュジャックと並んで賞賛される、モレ・サン・ドニを代表する伝統的大ドメーヌが「ポンソ」。ワインそのものの品質向上に対する熱意だけでなく、偽物に対する対策にも非常に積極的です。2008年からボトルの底に「Domaine Ponsot」の刻印を入れ、キャップシールの部分に偽造防止のための「プルーフタグ」を導入しています。また、ラベルには瓶内温度が28度を超えるとオレンジに変わる特殊インクのスポットを入れたり、安定した長期熟成状況を重視し独自の合成コルクも導入するなど、多角的でアグレッシブな対策を施しています。
ジュヴレ・シャンベルタンに隣接する位置にあるクリマ「モン・リュイザン」は、標高によって上から「村名」「プルミエ・クリュ」「グラン・クリュ」に分かれ、さらにはコート・ドールで唯一となる「アリゴテで造られるプルミエ・クリュが許されている」という非常に稀な存在です。ポンソのモノポールとなる「クロ・デ・モン・リュイザン」は、以前は複数の品種のブレンドで造られていましたが、2005年からは「アリゴテ100%」となり、中でも最も古い樹は、植えられたのがなんと1911年にまで遡ります。ゆうに100年を超える古木から、亜硫酸無添加、天然酵母による発酵、そして15hl/haという非常に低い収量で造られるアリゴテ100%のプルミエ・クリュは、正真正銘幻の白ワインだと言えます。
軽快で酸が強いという一般的なアリゴテのイメージを覆すポテンシャルを持ち、10年近い熟成を経てもなおピュアさと鮮明な表情を兼ね備えています。表層的には独特な個性を持ち、黄金糖を彷彿とさせるような、ある種の古めかしさを持った酸化熟成系の風味が主体となっています。ヒネているわけではありませんが、酒精強化系やシェリー、ジュラのような独特の個性に類似する表情でもあるので、純粋な味としては多少好みが分かれるかもしれません。とはいえ、未だに生き生きとした表情を持ち、そのフレッシュさとピュアさから放たれる生命力、そしてアリゴテらしい酸、逆にアリゴテらしからぬボディと果実味の凝縮感、それら各要素から織りなされる独自の世界観は、ワインを飲む者であれば一度は嗜んでみたいところではあります。
(2016/07)