- Good Quality -
ロンバルディア州のエルブスコに居を構える、フランチャコルタを代表する生産者が「カ・デル・ボスコ」。370エーカーもの畑を所有し、葡萄の樹齢も平均40年と高く、区画ごとに収穫と醸造を行い、最新の技術を惜しげもなく投入し非常に高い品質のフランチャコルタを数多く世に送り出しています。
すべてのフランチャコルタの頂点に立つといっても過言でもないこの「キュヴェ・アンナマリア・クレメンティ」は、創業者マウリツィオ・ザネッラの母「アンナマリア・クレメンティ・ザネッラ」に捧げられたキュヴェとなります。セパージュはシャルドネ60%、ピノ・ビアンコ20%、ピノ・ネロ20%。68ヶ月にも及ぶ長期間のシュール・リーが最大の特徴で、今回の2006年ヴィンテージは、2016年のヴェロネッリで「I Migliori Assaggi」に選出され、真に傑作した最高のワインとして、僅か5アイテムのみ選ばれたワインのうちの1本という栄誉を獲得しています。 ちなみに今回の1本は、2015年の秋にデゴルジャートされたロットになります。
長期間の瓶内熟成効果がしっかりと伝わる構成内容で、イースト由来の複雑さや多様性と、イタリアならではの果実のボリューム感、その豊かさと甘みが非常に印象的で、その世界観は、一般的なフランチャコルタよりも高品質なシャンパーニュが比較対象になりそうです。果実の豊満さと輪郭の明確さをうまく兼ね備えている印象で、やや後口に苦味が残りますが、丁寧に時間をかけて造られた良質かつ優れたポテンシャルを持つフランチャコルタということが具に伝わります。唯一のネックは「価格」で、いくら高品質とはいえ、優れたシャンパーニュと肩を並べる価格帯だと、敢えてフランチャコルタを選ぶという層は限られてくるので、現実的な価格競争力としてはやや厳しい印象を受けます。
近年の泡全般におけるドザージュ量の減少傾向を鑑みた場合、思い切ってノン・ドゼに仕立てて勝負してみても面白いかもしれませんが(イタリアらしい豊かな果実味を持つフランチャコルタの方が、冷涼地域のシャンパーニュよりもノン・ドゼに向いている印象)、いずれにせよ、イタリアでもシャンパーニュと真っ向から勝負できる水準の泡が造られているという現実には目を見張るものがあるので、価格的な問題がクリアできるようであれば、ぜひ積極的に試してもらいたいところではあります。
(2016/06)