- Very Good Quality -
ネッビオーロ90%、バルベーラ10%という、かなり珍しいブレンドで造られる、ドメニコ・クレリコのハイポテンシャル&ハイコストパフォーマンススワインがこの「アルテ」。
ネッビオーロ主体ということもあり、とにかくタニックで、現状では口中の渇きと軋みがやや目立つ傾向にあります。この辺りは、一般的により近づきやすい印象のある「DOCランゲ」という捉え方よりも、「偉大なバローロの亜種(ネッビオーロに対する異なる解釈)」といった捉え方のほうが無難かもしれません。
抜栓日は特に重厚かつ緻密なタンニンが先行しますが、その密度感とは裏腹に、重量そのものは決して過度に重く感じることはありません。酸も豊富ですが、イタリアらしいタイトに伸びる酸ではなく、橙系のニュアンスを持つ重めの酸なのが特徴的です。果実そのものは仄かに熟成感もありますが、それ以外の要素が膨大なエネルギーを有していることもあり、全体像としてはまだまだ若い印象を受けます。
翌日に持ち越すと、若干タンニンに熟れが見え始め、厳しさの内面にある魅力ある表情が徐々に表に出てきます。ボトルの最後の方になると、随分素直に楽しめるようになりますが、今飲むのであれば、抜栓後にしっかりと時間を与えるか、もしくは無理せずデキャンタージュすることをお勧めします。理想を言えば、後3〜5年ほど待ちたいところですが、モダンスタイルの見本とも言えるドメニコ・クレリコらしく、どの瞬間においても破綻することなくきっちりと仕上げてきているので、仮に今飲んだとしても大きく失敗するようなことはないと思います(純粋なコストパフォーマンスは圧倒的)。
(2012/01)