- Good Quality -
ド・ヴィリエ・ヴィンヤードの広さは15.6エーカーで、カレラの中では最も新しく植樹は1997年となっています。2001年~2009年までの9年間の平均収穫量は0.85トン/エーカー(12.8hl/ha)とかなりの低収量で、2009年ヴィンテージはフルボトル換算で1,460ケースが生産されています。
良くも悪くも最初の一口から楽しめるようなモダンなスタイルで、果実の高い熟度と重くならない適度な軽快さ、そして乳酸の丸みとバニラ系の油脂資質などが印象的です。全体的に、かなり技術志向に偏った傾向にあり、乳酸主体の資質とやや高めの彩度、そしてピノ・ノワールらしからぬ果実の熟度など、その方向性としては以前のカザマッタやカルムに近い雰囲気を感じます。ただし、さすがカレラとでも言うべき、本質的な葡萄力の高さがあるので、結果としてはそこまでネガティブではありません。とはいえ、かなりアタック重視になっているので、何杯か飲むとやや飲み疲れる傾向にはあります。
この手のスタイルは、早くから飲める反面、本来の良さやポテンシャルがどうしてもマスキングされてしまう傾向にあるので、本質を伺い知るには意外と長期熟成が必要だったりもします。翌日以降に持ち越した時の表情の変遷からして、できれば後5年、余裕があれば10年ほど熟成させれば、今とは全く異なる水準での表情や世界観を披露してくれそうな印象がありますが、あくまでも「余計な肩の力を省くための熟成(化粧を落とすための熟成)」なので、根本的にコストパフォーマンスが高いアイテムだということを考慮すると、無理せず早く飲んでしまうというのが現実的な解なのかもしれません(うまく熟成すれば化けるかも?)。
(2016/05)