- Good Quality -
雑誌「マタドール」が企画した限定ワインで、著名な現代画家がラベルを描き、醸造家が生涯に1度だけ造るという特別なプロジェクトになっています。要約すると「アーティストとワインメーカーのコラボレーション」というのがテーマであり、この企画の責任者は現代スペインワインの風雲児「テルモ・ロドリゲス」が担当しています。
今回の1本は、アーティストにアメリカ人の「ロニ・ホーン」が、醸造家にはポルトガルのダンを代表する造り手「キンタ・ダ・ペラーダ」の「アルヴァロ・カストロ」が選ばれています。これまではスペインを代表する醸造家が選ばれていましたが、今回は近年注目が集まる隣国のポルトガルから選ばれたことで、そのクオリティは既に十分世界水準に達していることがわかります。
セパージュは、トゥーリガ・ナショナル、ジャエン、ティンタ・ロリス、アウフロシェイロなどの土着品種を中心とした20種類のブレンドで、あくまでもダンという地の個性を活かす方向で仕上げられています。どことなくドウロのカルムを彷彿とするような指向性も感じられ(とはいえ、そこまでの露骨さや尖った指向性ではない)、いたって丸く滑らかさな表層、そして乳酸系のヨーグルト風味が主体となりますが、彩度は特に高くなく、技術的指向性が際立つことなく適度にバランスしているので、全体像としてはポジティブな傾向にあります。土着品種の持つとっつきにくさもなく、いたって多くの人に訴求しそうな仕上がりなので、これまでのマタドールのワインよりも手頃な価格なのは、結果として非常にありがたいところでもあります。
(2016/04)