- Good Quality -
設立が1994年と歴史は浅いのですが、以前はベガ・シシリアに葡萄を売っており、設立と同時にピングスでお馴染みのピーター・シセックをコンサルタントに任命するなど、非常に良質なワインをコンスタントに生み出しています。より上位の「ネブロ」と比較すると、この「フィンカ・ビリャクレセス」は比較的導入しやすいラインに位置しています。
長期熟成を経たフィンカ・ビリャクレセスということもあり、過去に試飲した他のヴィンテージとは一味異なる表情なのが非常に印象的です。熟した甘みを持つ果実は仄かな退廃的要素を纏い、オレンジ系の要素へと推移した程良い熟成感が漂います。それに反し、モダン系の造りが脳裏をよぎるような微かな樽的バニラ要素や、非常にドライで渇きを伴うタンニンが口中に残ることなど、リリースされた頃のエネルギーに満ち満ちた姿の面影が儚いながらも真摯に伝わってきます。
抜栓日は、各要素がそれぞれの指向性を持ち、一体感を覚えるような世界観ではありませんでしたが、翌日に持ち越すと、一気に昇華し適切な美点を披露してくれるようになります。全体としては、まだまだポテンシャルを感じる良質な世界観で、熟成感を主体とした古酒の世界の入り口的要素と、モダンスパニッシュ系のエネルギー感、その両方が適度に感じられる良好な状態だと言えそうです。
(2016/03)