- Good Quality -
長期熟成によって古酒の領域に入った、独特の世界観が印象的ですが、酸化系のシェリー香を主体とした生薬系の風味が支配している傾向にあり、全体像としては意外なほど纏まってはいるものの、なぜか最終的な訴求力には繋がり切れていないという不思議な世界となっています。各要素は枯れているものの、思った以上にコアに果実の力があり、リゼルヴァ・スペチャーレにふさわしい熟度の高い葡萄が感じられます。ただ、目に見えない部分で何か肝心なものが抜け落ちてしまったような印象も多少あり、兼ね備えた各要素のポテンシャルに反して、味覚として楽しめる要素が少ない傾向にもあります(決して悪いわけではないが、なぜかグラスが進まない系)。
バローロは一般的に長期熟成が可能ですが、熟成によって成長が期待できるというよりは、どちらかというと長く保存できるといった観点の方が色濃くなっているので、古酒固有のリスクを鑑みると、このジャンルのワインに対して造詣が深い人以外は、手を出さない方が無難だと思います。
(2016/01)