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元輸入業者のクリストフ・キュンズリが再建に力を注いだのがこの「ボーカ」。ピエモンテ最北部に位置するかなりマイナーなDOCですが、ボーカ随一の造り手だったアントニオ・チェッリが病気でワイン造りを諦めたことで、クリストフが後を継ぐ決心し、本来のボーカのあり方を具現化していきます。DOCの規定では、ネッビオーロを主体とし、ヴェスポリーナやボナルダが補助品種として認められているようですが、今回の一本はネッビオーロ85%、ヴェスポリーナ15%というセパージュ比率で造られています。
ピエモンテが誇る偉大な品種「ネッビオーロ」が主体となっていますが、バローロのようなパワーあるタンニン系とは一味違うスタイルとなっています。しっかりとしたボリュームは感じますが、梅や旨味を感じる昆布出汁系の要素を感じる果実味がコアにあり、そこに寄り添い一体となる酸味が魅力ある立ち位置を構成しています。どこかポン酢を感じる甘酸っぱさが心地よく、それでいてネッビオーロらしい体躯の安定感もあり、落ち着いた佇まいの中にキュッと身の詰まった要素がこのワインの良質さと個性を遺憾なく発揮してくれています。
(2015/12)