- Good Quality -
1982年以降で最も偉大なカロン・セギュールとも言われる、記念碑的なミレニアム・ヴィンテージになります。セパージュは、カベルネ・ソーヴィニヨン60%、メルロー30%、カベルネ・フラン10%。現時点で15年にわたる熟成を経ていることもあり、しっかりと地に足のついた、いたって現実的な水準にまで降りてきている傾向にあります。
この時代のカロン・セギュールは、忍耐を必要とする強靭なタンニンが基本的な特徴となりますが、ボトル差なのか、はたまた熟成の影響なのか、タンニンそのものはしっかりとした意志を感じるものの、酒質は滑らかで重量感もほどほどということもあり、苦もなくスルスルと飲み進めることができます。1990年ヴィンテージほどではないものの、コアにある本質的な熟度を獲得した果実の甘みが印象的で、カベルネ系の仄かで優しく熟れたハーブ風味、そしてそれらを支えるタンニンと、まさに飲み頃感のあるカロン・セギュール像が遺憾なく広がります。絶対的なエネルギーは控えめですが、とにかく心休まる熟成ボルドーらしい魅力が非常に心地よく、気がつくとあっという間にグラスが進みます。もっと威圧的で孤高な立ち振る舞いを想像していたので、やや肩透かしを食らった感もありますが、現実的な立ち位置にいてくれるからこその親近感という側面もあるので、個人的には大いにプラスに捉えたいところではあります。
(2015/10)