- Good Quality -
ノース・カンタベリーのワイパラ・ヴァレーに居を構える造り手が、このブラックエ・エステート。1994年にラッセル・ブラックが妻のクミコさんとともにピノ・ノワールを植樹したことがワイナリーの始まりとなります。現在は、2007年にワイナリーを購入したロッド・ナイシュ家がオーナーとなり、娘婿のニコラス・ブラウンがワインメーカーを務めています。
ヴィンテージに違いはありますが、通常のピノ・ノワールと比較すると相対的に果実味がかなり大人しく、逆に果梗系の硬さや複雑味の方がより印象的です(基本的なスタイルや指向性は同等)。全房比率はダムスティープが5%、通常のピノ・ノワールが15%と、実際に受ける印象とは逆なのが興味深いところではあります。全体的なボリュームが控えめな反面、バランス感や落ち着き具合、また、果実に頼ることのないその表情からして、日本人にとってはより親しみやすい世界観と言えるかもしれません。
抜栓日から楽しめますが、そのかわり翌日以降に持ち越すことで、やや軟質な箇所にスポットが当たる傾向にあります。多少儚さや脆さは感じられますが、その素性そのものはしっかりと感じられるので、個性の違いを飲み比べるという意味では得られるものも多そうな印象です。
ちなみに、ダムスティープはこの2012年がファースト・ヴィンテージとなりますが、実際には2011年までスパイ・オミヒ・ピノ・ノワールとしてリリースされていたアイテムと中身は同じになります。
(2015/09)