- Good Quality -
1997年以降の大改革により、赤も白もいずれも大いに躍進し、結果として非常に高い評価を得るに至ったのがこのシャトー・マラルティック・ラグラヴィエール。最先端の技術とミシェル・ロランの手腕により、現代水準のクオリティと非常に明快な表情を持つワインとなっています。
セパージュはソーヴィニヨン・ブラン80%にセミヨン20%。まさに実際のセパージュがそのまま体をなしているかのような、いたって素直な構成要素を持っているのが非常に印象的です。爽やかで溌剌とした風味に、芳醇でトロピカルな要素が加味された柔らかい果実の甘み、そして程よいバランスの樽風味との結合感など、絵に描いたような綺麗なボルドー像を打ち出してくれます。あまりにも各パーツが整っているのでスルスルと飲めてしまいますが、アルコール度数は14%と高めなので要注意かもしれません。
醸造技術に裏打ちされた良質な世界観ではありますが、それでも実際にはいたって現実的な水準にあり、あくまでも「食事と共に楽しみたいワイン」という立ち位置でもあるので、その非常に高い世間の評価から想像するような、孤高感や圧倒的存在感を期待していると、やや肩透かしを食らうかもしれません。とはいえ、その良質さはじっくりと向き合えば向き合うほど浸透してくるので、落ち着きある現実的な白ワインを望む人にとっては、ある意味ちょうど良いアイテムだと言えそうです。
(2015/08)