- Good Quality -
フィリップ・パカレが造るACブルゴーニュですが、スタンダードアイテムではなく、あくまでも限定的な特別キュヴェとなっているようです。シャンボール・ミュジニーとジュヴレ・シャンベルタン近郊の区画の平均樹齢約40年の葡萄から造られ、年間生産量は僅か3千本となります。
現状では若干若さが先行し、多少還元的な傾向にあるので、抜栓後にしっかりと時間を与えた方がより良い結果が得られる傾向にあります。仄かにプリューレ・ロック的な独特の自然派香が漂うのが気になるところですが、そこまでネガティブではないので、サーヴの工夫である程度コントロール可能だと思います。まさにパカレ節とも言える、甘旨系のたっぷりとした充実感と凝縮された魅力が印象的で、ある意味、テロワール的な指向性よりも造り手の個性が反映されているような印象でもあります。
既存のカテゴリーを超えた位置に存在するかのような、突き抜けた存在感と個性がある種の美点なので、多少評価が分かれる傾向にはありそうです。とはいえ、ACブルゴーニュでここまでの魅力を放つというのは異例とも言えるので、個人的には前向きに捉えて大いに評価したいところです。ただし、ただですら高価な傾向にあることに加え、前年の2012年と比較してもさらに一段と高価になっているので、純粋なコストパフォーマンスとしては分が悪くなっています(価格を度外視した場合は要注目)。
(2015/06)