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ハンガリーの「トカイ」との兼ね合いもあり、「トカイ・フリウラーノ」の名称が使えなくなってしまいましたが、他の多くの生産者が「フリウラーノ」という名称を使用しているのに対し、ダリオ・プリンチッチはラディコンと同様に「トカイ」のスペルを逆にした「ヤーコット」という名称を使用しています。
2010年のヤーコットはしっかりとした濃い色調で、スキンコンタクト系の白ワインらしい琥珀色となっています。総エネルギー量や基本的世界観はト同年のトレベツ同様ですが、円熟味が印象的だったトレベツとは異なり、ヤーコットは粒立ち感のある振幅さや表層に見られる立体感がより印象的です。複雑かつ凝縮した要素を持つ一面と、単一品種らしいスッキリサッパリとした一面がしっかり融合し、その個性と魅力をしっかりと具現化しているのが特徴で、トレベツ同様、ややこぢんまりとした落ち着いたサイズ感ではありますが、自然に浸透してくる際立つ魅力がかなり心地よく、飲み進めても決して飲み疲れしない優しい酒質なのが非常に好印象です。
より濃厚な表情を楽しみたい場合は小振りなシャルドネグラスを使用し、逆に風味の広がりや余韻の心地よさ楽しみたい場合は、大振りなモンラッシェ用のグラスを使用するなど、サーブを工夫してその独自性ある表情が持つ魅力を存分に引き出してもらいたいところです。大ぶりなグラスを用意するのは少し難しいかもしれませんが、それだけの価値は十分あるので、より積極的に歩み寄ってその世界観を堪能してください。
(2014/12)