- Good Quality -
サンタ・バーバラ最古の畑として(1971年に植樹開始)、そしてこの地におけるピノ・ノワールの可能性を世に知らしめた存在として非常に有名なのが、この「サンフォード&ベネディクト・ヴィンヤード」。
体躯そのものの質感がかなり鈍く軟質で、そのとりとめのなさ、焦点のハッキリしない様、全体を通してのちぐはぐ感がかなり目立ちます。当初は状態が悪いのかとも思いましたが、各要素のエネルギーは十分で、オー・ボン・クリマらしい果実の充実感や仄旨味も健在であり、また兼ね備えたその資質は概ね良質なので、おそらく本質的にこういうスタイルなのだと思います。
やや収斂気味でバランスに多少難がある印象ではありますが、果実の充実度はしっかりしているので、焦らずにじっくりと向き合う方が無難かもしれません。抜栓日〜抜栓翌日ではまだまだ良質な世界観が組み上がる気配もありませんが、抜栓3日目ともなると、さすがに鈍く緩かった体躯資質がそぎ落ち始め、程よい旨味と果実味に収斂した柑橘系の酸と苦みが加わり、適度なアクセントとなってそれなりの良さを垣間見せてくれます。
これまでのオー・ボン・クリマの中では最もバランスが悪く、かつネガティブな傾向にありますが、各ピースがまったく組合わさっていないことが大きな原因でもあるので、今後の瓶熟成によっては大きく化ける可能性もあります。ただし、その期待を持ち続けるだけの価値があるのかかどうかは不明なので、あまり大きな期待を持たない方が無難です。
(2014/09)