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ジャン・ガローデを代表するポマールの「ノワゾン」。残念ながら2006年を最後にワイン造りから引退したので、このヴィンテージが彼の手掛ける最後のノワゾンとなります。
造り自体はトラディショナルな系譜にあり、派手さはないものの、落ち着いた酒質から滲み出る懐古さが印象的です。仄かに古びた風味が感じられ、特に抜栓直後は当たり障りのない表情が多くを占めているので、良くも悪くも地味なスタイルとなっています。体躯は薄く要素の充実さも特に傑出するものがないので、現代的な充実感ある果実味豊富なワインに慣れていると、かなりガッカリしてしまう可能性もあると思います(ポマールとしてはエレガント系)。
短時間での試飲だと過小評価してしまう傾向にありますが、時間をしっかりとかけて向き合い、抜栓後数時間〜翌日に持ち越すぐらいのゆとりを持てば、コアに潜む滋味と小気味よく優しいピュアな果実味がじんわりと表出し、伝統的な造りのワインが持つ良質さの一端を垣間みる事が出来ます。充実した体躯やバランスを求めた現代的スタイルではなく、明確な欠点も内包しているのも確かなので、純粋な点数評価としてはあまり期待出来ませんが、そういった表層から窺い知れる事以上の良質さを内包しているのも事実なので、ポジティブにその良さを享受してもらいたいところです。特に昨今はこういった系譜のワインが激減しているので、多様性や個性といった側面からも軽視するべきではない存在だと言えます(故にこれが最後のヴィンテージとなるのがやや残念)。
(2014/02)