- Very Good Quality -
2001年にニュージーランドのマーティンボロでワイナリーを設立。今やニュージーランドを代表するだけでなく、世界基準で非常に高く評価される日本人醸造家「楠田浩之」によるリースリングです。
2012年は冷涼な作柄となりましたが、水はけの良い土壌や風の強いマーティンボロの特徴が功を奏し、リースリングにとっては逆に好ましい結果となったようです。糖度は21.6、残糖は4.2g/l、総酸量は8.6g/l、アルコール度数は12.8%。生産本数はコルク栓が1,999本、スクリュー・キャップが1,385本となっており、今回試飲したのはコルク栓のボトルとなっています。
新鮮で爽快なグリーン系の風味に桃を思わせる果実の充実感、そして北欧系のリースリングとは根本的に異なる体躯のボリューム感からくるある種の豊満さが非常に印象的です。表情自体はいたって落ち着いており、何があっても動じない安定した余裕を感じる体躯を兼ね備えています。指し示す方向性としては、ニューワールド的な明快さではなく、ヨーロッパ的な本質を追求したかのような非常に良質な世界観を兼ね備えており(しっかりとした酸が非常に奇麗)、どの瞬間、どの場面であっても、そのコアから放たれる質実な側面は澱みなく浸透してきます。
抜栓直後は淡々とした傾向にありますが、時間とともにその良質さが増す傾向にあり、翌日に持ち越すと更なる昇華感が広がります。ボトルの最後の方になると、柑橘系の風味が表情により良い彩りを追加し、更なる魅力となって飲み手に訴求します。まさに「完成度の高い非常に良く出来た辛口リースリング」だと言えますが、それに応じて価格も高価な傾向にあるのが唯一の悩みどころで、日常で気軽に飲めるような価格帯ではないというのがやや残念なところです(更に年々価格が高騰する傾向にあり)。
(2014/02)