- Very Good Quality -
オーストラリアを代表する醸造コンサルタント「クリス・リングランド」を筆頭に、フミーリャを代表する生産者「ミゲル・ヒル」、アメリカのインポーター「ホルヘ・オルドネス」といった3人が結集。フミーリャの持つポテンシャルを最大限に引き出し、世界に通用するワインを造るために築き上げたボデガが、「巣」という意味を持つ「エル・ニド」。
ラインアップは、造り手の名を冠した「エル・ニド」と、この「クリオ」の2種類。エル・ニドのセパージュはカベルネ・ソーヴィニヨン70%にモナストレル30%ですが、クリオのセパージュはその真逆で、モナストレル70%にカベルネ・ソーヴィニヨン30%となっています(モナストレルの樹齢は60年以上、カベルネの樹齢は25年以上)。収量は驚異の10〜12hl/ha。生産本数は僅か13,500本。発酵はすべてオーク樽で行われ、新樽のフレンチ・オークとアメリカン・オークで26ヶ月熟成されます。
トップ・キュヴェのエル・ニドの存在感には際立ったものがあり、ウニコ、ピングス、テルマンシア、レルミタなどと共に、今ではスペインを代表する生産者としての地位を確固となるものにしています。セカンド的ポジションにあるこのエル・ニドも、それらに比肩する非常に高い評価と地位を築き上げており、土着品種ベースということを考えると、フミーリャの持つポテンシャルの具現化とアイデンティティの具現化という観点においては、より大きな美点が見出せると言えるのかもしれません。
まさに現代における金字塔とでも言うべき圧倒的なエネルギーを内包ししつつも、それでいて軽妙さを失わない立ち振る舞いが大いなる魅力と美点を醸し出しています。体躯内部はまさに緻密の極地。微細な各要素が結合して組み上げられたその概要は、粘度とボリュームと適度な柔らかさ、そして滑らかさを兼ね備え、各要素の繫ぎ目は驚く程に滑らかで、時間と共に心地良い変遷を見せてくれます。アタックには凝縮し完熟した果実、そこからすぐに橙系の柑橘の酸、さらにタンニン系の渋みと推移し、程よいアルコール感とともに奇麗に収束していきます。樽によるバニラやクリーム系の風味も仄かに漂い、単体要素として捉えると非常に甘く、そして非常に酸が強いものの、それらが高い領域でバランスしている事もあり、相対的にはその甘さや酸がまったく気になりません。同様に15.5%という尋常ならざる高アルコールも、一体となった全体像から紡ぎ出されるパッケージングの高さにより、まったく気にならないどころか、むしろ驚く程スルスルと飲めてしまいます。
現時点で何の問題もなくその魅力を享受出来ますが、尽きるまでの寿命を考えるとまだまだ若年期と言えるので、単に今飲むだけでなく、5年、10年と、将来に渡って熟成させたい場合にもしっかり適合してくれると思います。決して心揺さぶるような、心底感動するような領域に到達しているわけではありませんが、それでもこのクオリティを現実的に具現化しているというその事実は、驚きと喜びを持って受け止めるべきだと言えそうです。
(2014/01)