- Good Quality -
もっともコストパフォーマンスが高いトルブレックのアイテムとして非常に名高いGSMですが、今回試飲した2011年は過去のヴィンテージ試飲時よりも1〜2年早く試してみる事にしました。
充実した凝縮感に、完熟葡萄の果実味が乗ったトルブレックらしい世界観ですが、同時に高いアルコール感(14.5%)、胡椒系とハーブ系のスパイシーな風味、そして柑橘系果実の白皮を彷彿とさせる収斂感など、各要素がそれぞれ独立してハッキリとした主張を繰り広げます。グルナッシュ、シラーズ、ムールヴェドル、それぞれの熟度感にやや差異があるような印象もあり、現状では一体感が産まれるまでには至っていない印象でもあります。素直に楽しめるだけの表情は構築されていますが、まだまだ若さを感じる状態なので、抜栓後に時間を与える心構えで多少ゆとりを持った方が無難です。
当初の印象としては、従来のGSM像がまだ発揮されていない傾向にありました。その主張は明確でエネルギーは豊富ではあるものの、まだあまりポジティブに噛み合っていないような印象でもあります(明らかにこれまでとはスタイルの違う世界観)。ただし、翌日に持ち越すと収斂性や各要素間の距離、そしてバランスが緩和され、徐々にGSMらしい世界観が形作られていく様子が見て取れたので、また従来とはひと味違う表情および良質さを肯定的に表現しようとしていることからくる結果なのかもしれません。
もう1〜2年瓶熟期間をおいてから再度試してみたい印象もありますが、現状でも変わらず高いコストパフォーマンスを発揮してくれるのは確かなので、ニューワールドの持つポテンシャルと魅力を堪能するにはうってつけのアイテムだと言えそうです。
(2013/09)