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ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの歴史を語るのに欠かせない存在なのが「ビオンディ・サンティ」。粒が大きく凝縮したクローン「サンジョヴェーゼ・グロッソ」の発見と、そのクローンを用いて1888年に初めてブルネッロを世に送り出すなど、その優れた資質と品格はまさに王道と言える存在感となっています。そんなビオンディ・サンティが生み出すもうひとつの逸品がこの「ロザート」。サンジョヴェーゼ・グロッソで造られる珠玉のロゼとして、王道を行くその世界観はブルネッロと同じく確固たる輝きを放っています。
ロゼとは思えない充実感と密度感が印象的で、酸主体の軽快なピノ・ノワール(ある種ブルゴーニュ的な落ち着いた世界観)と見まごうばかりのボリュームを兼ね備えています。完全なブラインドで挑んだ場合はロゼだと気がつかない可能性も多々ありそうですが、それでも過剰な主張があるわけではなく、適切な位置に適切な要素を配置した安心安定の内容となっています。サンジョヴェーゼ系の細身のグラスとの相性がよく、酸味やコアに力のある甘味、そして豊満でやや低重心の体躯など、その王道たる立ち振る舞いを存分に楽しむ事が出来ます。
このロザートですが、驚く事に2013年度版のヴェロネッリで「イル・ソーレ」を獲得しています。数多あるイタリアワインの中で、2013年のイル・ソーレに選ばれたのは僅か20本のみ。当然ながらロゼで選ばれたのはこの1本のみとなっています。ただし、非常によく出来たロゼではあるものの、イル・ソーレに値するような「感動」と「驚き」が感じられるかどうかは、やや不透明といったところかもしれません。突出した魅力を放っているわけではなく、地に足の着いたその質実さそのものが最大の魅力だといえるので、まごうことなきその王道の素性を、真っ正面から受け止め享受して欲しいというのが正直なところです。かなり高価な価格帯ではありますが、一度は経験しておくに相応しい存在なので、もし未経験であれば是非ともこのイタリア最高クラスのロゼを体感してもらいたいところです。
(2013/06)