- Good Quality -
2005年のポワスノは非常に評価が高く、基本的には「長期熟成型」として、やや時間がかかる傾向にあるとされています。
酸、果実、タンニンがしっかりしていて、2005年というヴィンテージの恩恵をしっかり受けた充実感が印象的です。ただし、各要素の充実感とは裏腹に、体躯そのものがやや薄くフラットな傾向にあり、その内部に位置する各要素も定位感はあるものの一体感にやや欠け、融合し打ち解けあうにはまだ時間がかかりそうな印象でもあります。相対的に酸が強めな傾向にあり、果実味は抜栓日をピークになだらかに落ちていくので、タンニンの渋みなどが口中に残り硬さを感じます。鉄分やミネラルがありステンレス的な要素も感じられますが、如何せんシャープさがなく、その硬質感とは裏腹にどこか緩さや鈍さが余韻として残ります。
葡萄の収穫から含めた一連の作業工程、そして全体的なパッケージングに少しのズレがあるようにも感じますが、それでも全体的には充実した内容で、十分なエネルギーが込められた良質な世界観だということは伝わると思います。特に抜栓当初の印象はまだ未完な傾向にありますが、翌日、翌々日と時間を与えて表情の推移に注意すると、やや奥まってはいるものの芯がしっかりとした果実味、旨味、アルコールが一体となり、酸とのバランスが向上することで良質な世界観を紡ぎ出してくれるので、今後さらに3〜5年程度の瓶熟成を経れば、各要素が昇華し兼ね備えた美点が開花してくれるかもしれません(期待も込めて)。
(2013/01)