- Good Quality -
ボリュームがあるようなスタイルではないものの、土台がしっかりしたかなり強固な酒質となっており、収斂性あるタンニン、ピリピリするスパイシーな辛み、苦み、赤系果実のキュッと身の詰まった甘みと一体になった旨味が感じられ、遺憾なくその資質が伝わってきます。ジャン・マルク・ミヨらしいキュートな赤系果実を根底としながらも、より熟した資質と旨味が相まっているので、より明確な魅力と表情を持ち合わせているといえます。
線は細めではありますが、ベースに酒質の固さや強さ、そして鋭い苦みがあり、仄かな漬け物風味の酸の存在など、全体的なパッケージングやバランス加減としてはやや難があるのも事実です。しかし、それでもなお魅力ある表情を有している点や、ヴィンテージの善し悪しとはまた別の、本質的な良さが滲み出ているのもまた事実です。純粋な点数評価としては多少伸び悩む印象ではあるものの、優良なヴィンテージではないからこそ見えてくる本質の良さや個性、まさに個としての存在力を実感できるので、相対的には非常にお買い得感あるエシェゾーだと感じます。
造り手のスタイルとしてはわかりやすい部類に入るだけに、このヴィンテージのエシェゾーは万人向けする系譜のワインとは言えないかもしれませんが、ブルゴーニュを多く経験し理解を深めている人であれば十分な満足感や発見が得られると思うので、個人的にはお薦めしたいところだったりもします。
(2013/01)