- Very Good Quality -
数年前まではあまり知られることのない造り手でしたが、伝説となる1999年のバルバレスコ「クリケット・パイエ」により、一躍注目に値する存在となったのがこの「ロアーニャ」。今回試飲した「モンテフィコ」は、バルバレスコ村の同名クリュの南東区画からのセレクションで造られます。
2004年というヴィンテージの恩恵もあってか、非常にタンニン豊かで堅牢性ある長熟的指向性を持ったクオリティの高い世界観となっています。抜栓日は渇きを伴うタンニンに終始支配され、表層で感じ取れる各要素についてはあまり評価出来る傾向にはありません。しかし、そこから溢れ出る不思議な魅力は飲み手を惹き付け、特筆すべき要素がないにも関わらず、なぜかかなり高い満足感が得られます。どれだけ飲んでも飲み飽きることがなく、なおかつ無駄ブレの一切ない落ち着き払った歩調で淡々と進みますが、抜栓翌日に持ち越すと一気に表情が昇華します。当初は乾いたタンニンにマスキングされていましたが、非常に魅力ある果実味が絶妙なバランスで表出し、文句なく美味しいと感じる素晴らしい世界観へと移り変わります(即時バランスするところがまた素晴らしい)。
酒質は強固ながらもやはりエレガント。力強さと流麗さを併せ持つ優良なバルバレスコとして、大いに評価されるべき1本だと感じます。抜栓日の印象だけだと評価を見誤る可能性もあるので、コアに潜む本来のポテンシャルを存分に引き出し、ありのままの姿を存分に享受してもらいたいところです。潜在的にはまだまだ成長余地があり、むしろこれからが本番といった傾向にもあるので、今飲む用途としてだけでなく、将来飲む用途としても大いに活躍してくれると思います(改めて以前試飲した2003年のパイエの良さを実感)。
(2013/01)