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1983年に誕生したペルカルロは、6つの畑から特別選別されたサンジョヴェーゼ100%で造られます。年々評価が高まるペルカルロですが、2007年はリコルマと同じように、やや大人しくそつのない指向性でシンプルに仕上がっている傾向にあります。
抜栓日の印象は「飲みやすく素直な魅力が披露される」といったもので、サンジョヴェーゼらしさといよりも、セパージュを超えたある種の「ペルカルロらしさ」が素直に表現されているように感じられます。いたって万人受けする表情で、シンプルに美味しいワインといったスタイルですが、心に迫るような訴求力を持つ類いではないのがやや気になるところではあります(そういうところもある種のペルカルロらしさかも?)。
翌日に持ち越すと、さすがに本質的なコアの力が徐々に表出しはじめます。サンジョヴェーゼらしいタイトな硬質感や酸、垂直に伸びる孤高さも仄かに醸し出してはくれますが、それでもやはりベースはあくまでも万人受けしやすいスタイルになっているので、イタリアワイン(サンジョヴェーゼ)が好きな人でなくても十分楽しめる内容だと思います(ややタニックなので注意は必要)。本質的に、ペルカルロというワインはサンジョヴェーゼという品種の本質を表現するような世界観ではないので(あくまでも「ペルカルロ」というワイン)、このあたりをどう受け取るかで評価が別れそうな気もしますが、個人的にはメルロー100%で造られるリコルマの持つ個性と本質的な訴求力をより支持したい気分ではあります。ただし、年々手頃になりつつある価格や、その入手の容易さ、なおかつ料理とともに楽しめるいたって現実的な世界観であることを考えると、ペルカルロが持つそのポジションには明確な利点があると言えそうです。
(2012/10)