- Good Quality -
アンティノリやテスタマッタで醸造を担っていた「アルベルト・アントニーニ」が手掛けるハイクオリティアルゼンチンワインで、このエステート・セレクションに関しては、その年の最も出来が良かった区画のバレルセレクション(シングル・ヴィンヤード・ライン)となっています。
過熟感ある風味と十分な緻密さや力強さを持ちながら、体躯はいたって滑らかで柔らかく、非常に飲みやすい仕上がりとなっています。個性とビジョンを発揮しつつも、万人に対してのアプローチをしっかり堅持し、全体的なバランス感を重視しつつ世界を組み上げるその様は、まさに近代における醸造技術の進化をまざまざと見せつけられた印象でもあります。単純に中身だけでなく、ボトルの重厚さやラベルデザインなども含め、現在の価格帯以上の内容を誇っているのは間違いありません。ただし、立ち位置としてはあくまでも「味覚で堪能する美味しいワイン」であり、グラス1杯の満足感は非常に高いものの、時間をかけて向き合いじっくり飲み続ける、という指向性にはあまり向いていない傾向にあります(魅力的だがやや飽きやすい)。とはいえ、そのスタイルを受け止めた上でうまく料理と合わせれば、かなり高い相乗効果が得られると思うので、個人的にはより前向きになってこの存在を享受したいところです。
(2012/09)