- Good Quality -
バニラの風味にプラム的な果実味、そこにサンジョヴェーゼらしい酸(仄かな橙系のシトラス)やしっかりしたタンニンが加わり、バランスのとれた魅力ある表情がストレートに披露されます。ある種の大衆迎合感、主体としてマジョリティに対する訴求力を重視したような傾向にあり、その方向性そのものは以前試飲した2006年と同様ですが、やはり抜栓直後のグラス一杯目から楽しめる明快さというのは捨て難いものがあるので、これはこれでそのスタイルを前向きに捉えることが正しい判断なのかもしれません。ただし、葡萄に力はあるもののどこか製品的な佇まいがあり、決して本質的な訴求力を兼ね備えたようなタイプではないので、過度の期待は禁物だとも言えます。葡萄品種やキャンティ・クラッシコとしてのポジションよりも、フォンテルートリ(マッツェイ)としてのブランドを感じる内容だとも言えるので、価格に応じた素直に楽しめるワインとして、幅広い人に純粋に楽しんでもらいたいところです。
(2012/07)