- Good Quality -
キッコーマンの子会社となる「マンズワイン」が、シャルドネとリースリングを交配させて独自に育種した「信濃リースリング(1991年に品種登録)」。その信濃リースリングの完熟葡萄を、一度凍らせてから絞る「クリオ・エクストラクション」という製法で造ったのがこのアイテムとなっています。通常の3倍近い原料を贅沢に使用し、もっとも糖度の高い部分のみを絞ることで濃密な甘口ワインに仕上げているので、ある種「人の力で造るアイスワイン」と言えるのかもしれません。
一般的なリースリングのイメージとは異なる凝縮感と濃厚な甘味、そして橙系のシトラスや十分な酸など、甘口ワインとしてのポテンシャルは上々で、日本的なしなやかさを感じるスッキリとしたスタイルでありながら、それでいて濃厚な甘味を楽しめるという、いたって奇麗な美味しさを持ったスタイルだと言えます。素直に楽しめる明快な世界観でありながら、諸外国のワインとはまた異なる資質を披露してくれる点など、その表情は非常に有意義なので1度は飲む価値がある極甘口ワインだと言えます。
非常に高額になりがちな極甘口ワインというジャンルを考えれば、国産ワインの価格競争力の問題もかなり低減されているので、個人的にはかなり有力なアイテムになりそうな印象ではあります。同じ価格帯に、より明確な魅力と個性を発揮した「ソラリス 甲州古酒」という存在があるので、相対的に少しニッチよりなポジションになるかもしれませんが、普段からこの価格帯以上の甘口ワインを飲んでいる人であればその魅力は十分理解出来ると思うので、機会があればぜひ試して欲しいところではあります。
(2012/07)