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セントラル・コーストの畑で造られるヴィオニエによる甘口ワインです。カレラの甘口は4年ぶりの生産となるようですが、35周年記念の刻印がラベルに施されていることや、過去生産されていた自社畑によるマウント・ハーランとは異なり、今回は買い葡萄も含めたセントラル・コーストになっている点、そしてその「ドゥー」というネーミングなど、様々な点で過去の甘口ワインとは異なる立ち位置となっています。
抜栓直後から甘美な風味が漂い、桃やパインなどのトロピカルな果実のコンポートを思わせる、明快で魅力的な甘さがストレートに伝わってきます。濃密でありながらも重さやダレはなく、豊富な酸と高めのアルコールによって全体が程よく引き締まり、フィニッシュにかけてのキレや軽快さへとうまく収束させるあたり、分かりやすいスタイルでありながらもさすがと思わせる一面を兼ね備えています。翌日以降に持ち越すと、果実の一体感がグッと増すとともに表情が落ち着き、より質実で繊細な側面が見えてきます。相対的に酸や体躯に視点が移りますが、陽的な要素もしっかり残っているので、幅広い層に楽しんでもらえるだけの表情はしっかり堅持していると言えます。
甘口ワインが好きな人にはもちろんお薦め出来ますが、比較的高価になりやすい貴腐ワインやアイスワインよりも価格的な壁が低いので、どちらかというと、普段甘口を飲まない人にこそ飲んでもらいたいところです。そういう意味では、360ケースという少量生産なのが最大のネックかもしれません。
(2012/04)