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体躯中央に柱が通っているようなスタイルで、線は細くタイトに纏められていますが、その内容量を大幅に超えるレベルで各要素が封じ込められていることにやや驚きます。ヴィンテージの恩恵が伺える豊かさ故に、抜栓直後は各要素間が打ち解けず開放される気配もあまりなかったので(昇華するのに時間がかかりそうな印象)、今回はデキャンタージュで対応することにしました。
本領を発揮する迄はちぐはぐな印象が強い傾向にありますが、ポテンシャル自体はかなり高いので、まずはすべての要素をしっかり引き出すよう意識ししてサーブすることをお勧めします。重量感は軽快ですが、タンニンは豊富で、なにより果実の充実感が想像を超えるレベルにあり、受ける印象としてはもはや「濃縮果汁還元100%グミ」といった様相ですらあります。とはいえ、バランス自体は良好で、タンニンや果実に負けず酸も非常にしっかりしているので、どこかが突出するようなこともなく、どの要素も総じて多くのエネルギーを秘めていると思います。
現代的な醸造技術が生かされたスタイルなので、手放しに喜んでいいのかどうか多少迷う側面もありますが(ネッビオーロらしさを考えると特に…)、それでも本質としては非常に優秀で、クリアに磨かれた体躯中枢のタイトさと充実した各要素の対比などなど、なかなか興味深い世界観を打ち出してくれるので、ある程度割り切った上で、今そこにある姿としてのバルバレスコとして(伝統的なバルバレスコとは違う存在として)、より前向きに受け取ってもらいたいところです。
一口飲めばすぐにわかるほどに、いたってモッカガッタらしいスタイルとも言えるので、この造り手のスタイルが好きな人であればより高い満足感を得られるのではないでしょうか。
(2012/01)