- Good Quality -
久しぶりとなる「ラ・パッション」ですが、ヴィンテージの影響もあるのか、以前のラ・パッションの持つイメージとは少し異なる印象を受けます。
最も印象的なのは「タンニン主体のスタイル」という点。やや陰な性質で、ドライで粗めのタンニンによって多少口中が収斂することもあり、フレッシュさや瑞々しさといった表情は影を潜めています。熟した果実(黒系)のムッチリ感からくる低重心さはあるものの、全体像としてはヘビー級というわけではなく、いたって気軽に飲める現実的な範疇で纏まっており、比較的シンプルながらもグルナッシュらしいスパイシーさも相まっているので、飲み疲れてしまうようなことはそれほどないと思います(高アルコール由来の迫力がうまく軽減されている)。
従来よりもワインとしての質実さにより重点が置かれている印象で、表情に多少ばらつきを感じる抜栓日よりも、翌日の方がより良好になる傾向にありますが、それでもラ・パッションらしい「気軽に飲める高コストパフォーマンスワイン」といった指向性はしっかり継承されているので、結果としては総じて十分な満足感が得られると思います。
(2011/12)