- Recommended -
フローラルではあるものの、色調からして濃く、明確な果実の甘味と、思いのほかしっかり存在する酸の2要素によって、誰が飲んでも楽しめるような素直なわかりやすさが構築されています(ヌーヴォーらしい溌剌さはやや控えめなので飲みやすい)。甘くて美味しいといったタイプではあるものの、相対的に隠れている傾向にある「酸」が意外と全体を支える要素になっていて、青リンゴを思わせる風味はちょうどいいアクセントにもなっています。
ここ数年の作柄の良さはいろいろと話題になっていますが、それに加えて醸造技術の向上といった側面もかなり大きな影響を与えていそうな印象です。あくまでも「葡萄ジュース」的な美味しさではありますが、それでも良い意味でヌーヴォーらしくない、ワイン本質としての良さも兼ね備えているのがちょっとした驚きで、抜栓後4〜5日経過させると、当初の果実味主体の表情とはひと味違う、ベースとなるワインの素性の良さをしっかりと感じさせてくれる領域へと昇華してくれます。
じっくり向き合って評価するようなタイプのワインではないものの、新酒を祝うヌーヴォーとして観た場合はプラスアルファが得られる内容なので、自身に課せられたその役割は十二分に果たしてくれると思います。
(2011/11)